加賀博昭 |
2004年6月1日 |
今年1月から日本でも開始されたGoogleのAdSenseによって、ネットビジネスの 状況が変わり始めている。多くのインターネットユーザーがインターネットへ の入り口としている利用している検索サイトから実際の商品を扱うオンライン ショップやサービスサイトまでの誘導がオフラインでの営業を介することなく 可能になったのである。 既存ビジネス対する、オフラインでの営業スタッフが存在しないネットビジネ スの最大の弱点は「営業力のなさ」であった。そのため、これまで成功してき たネットビジネスの多くは、豊富な資金力で強力なオフライン営業が可能だっ た企業か既に多くの営業スタッフを抱え、多くの企業とコネクションを持って いた既存ビジネスからの参入組であった。 これまでは、インターネットユーザーにコンテンツを提供するサイトのオーナ ーは商品やサービスを提供している企業とコネクションがなかったため、あま りページビューのない自サイトの広告枠を売り込むことはほとんど不可能であ った。 むろん、成果報酬型のアフェリエイトもあるにはあったが、アマゾンのアソシ エイトプログラムなどの個別の商品のアフェリエイト以外は、サイトに掲載さ れた広告を通じて商品が購入されることはまれで、ほとんどのサイトのオーナ ーにとっては事実上無意味なものであった。 しかしながら、GoogleのAdSenseによるネットビジネスバリューチェーンの完 成によって、PPC広告やSEOなどの検索エンジンマーケティングの手法を活用し、 検索サイト(広告代理店、メディア)、コンテンツサイト(メディア)、オン ラインショップ・サービスサイト(商店)というバリューチェーンの一端を担 うことで、優れたコンテンツを提供できるサイト、優れた商品・サービスを販 売するサイトであれば、オフラインでの営業力は必要なくなるのである。 この状況はオフラインでの営業力を持たないサイトのオーナーにとっては大き なチャンスである。なぜなら、営業スタッフを抱える必要がない分低コストで コンテンツや商品・サービスが提供できるため、既存ビジネスに対する価格競 争力で優位に立つことができるからである。また、インターネットユーザーに 無料の情報や安い商品・サービスをもたらす一方で、これまでオフラインでの 営業を担ってきたスタッフにとっては雇用喪失の危機をもたらすものではある のだが。 |