加賀 博昭 アメリカのITバブルの崩壊にともないこれまで勝ち組みとされてきた日本の IT関連企業の業績の悪化が新聞などで報道されている。無限に続くかとも思わ れたアメリカのITバブルの崩壊自体はやむをえないものである。当然のことな がら当分は設備投資の削減や人員の整理が続くのは間違いないが、ITバブルの 間にアメリカで行われた通信設備などに対するIT関連の設備投資は決して無駄 にはならないだろう。 現状では通信設備やデータセンターの容量に対して需要が不足している状況 のようであるが、その原因は、Webサイト側でユーザーに必要とされるコンテ ンツやサービスを提供できていないのではないかという問題もあるが、むしろ ユーザー側がインターネット上で提供されているコンテンツやサービスの利用 方法を十分に理解していないと面が大きいのではないだろうか。 電子メールやWebサイトの閲覧以外にインターネットを利用しているユーザ ーがどれほど存在するだろうか、インターネットユーザー全体から見ればその ようなアクティブなユーザーはごくわずかであろう。 ユーザーのインターネット利用に対する学習が進むにつれて、テキスト中心 のコンテンツから動画や音声によるコンテンツの利用が増加するのは確実であ る。その結果、通信量やサーバーに対するニーズは急増する可能性は非常に高 いと考えられる。その際、既に設備投資が進んでいるアメリカが有利なるのは 間違いないであろう。 そうはいっても、当面IT業界にとって厳しい状況が続きそうである。この状 況で勝負に出るのはリスクが高すぎて無謀そうである。しばらくは地道にコン テンツやサービスの改善に取り組むしかなさそうである。 |