加賀 博昭 小泉首相は5月7日、所信表明演説の中で国民が政策形成に参加する機運を盛 り上げるため、関係閣僚などが出席するタウンミーティングを、全ての都道府 県において半年以内に実施し、また、「小泉内閣メールマガジン」を発刊する と表明した。 これは、正直言って私にとっては驚きであった。これが実行されればその社 会的な影響は非常に大きなものになると思えるからである。内閣が国民と直接 対話し、メルマガを発行するのであれば、野党もこれに追随しないわけにはい かないだろうから、政治関連の情報はかなりの部分がマスコミを経由せずに直 接国民に流れる可能性がある。当然のことながらマスコミは反発するであろう が、現在の小泉内閣に対する高い支持率から考えると、その流れは止められな いであろう。 そうなると、これまで情報の流通経路を支配することによって、社会的に大 きな影響力を与えてきたマスコミの権力が弱まることになるのであるから、社 会における権力のバランスが崩れることになる。政府の権力に対する対抗勢力 として機能してきたマスコミの権力が弱まるとどうなるのであろうか。政府の 権力が強くなりすぎるのではないだろうか。それとも、マスコミに変わって国 民が新たにインターネットを駆使して政府の権力に対する、対抗勢力となるの であろうか。どうも、先が見えない状況になりつつある。 これまで、ネット革命は企業活動に対するものが中心で経済的なものである というのが私の認識であったが、どうやらネット革命が世の中に与える影響度 はそんな生易しいものではないようである。社会における情報の流れが変わる ことによって、権力のバランスを崩し社会の構造を根底から変えることになる かもしれない。そうなるとまさに「革命」である。 |